『横濱行進曲』観劇レポート
横浜夢座公演『横濱行進曲』とは･･･
平田広明さんの役柄
舞台上の平田広明さんウォッチング！
感想集
舞台の裏の平田さん目撃(?)談
横浜夢座公演『横濱行進曲』は、99年12月８日〜13日の6日間、全8回の公演でした。
その様子を（演劇ビギナーな私ですが）できる限りレポートしてみたいと思います。
横浜夢座公演『横濱行進曲』とは･･･
横浜夢座というのは、既存の劇団ではなく、女優五大路子さんが座長をされ、
横浜市民の有志の方々によって結成された実行委員会と共に準備をされた劇団だそうです。
出演者の方々はいろいろな劇団からいらしてました。（劇団昴の平田さんを初め、
文学座、俳優座、扉座、などなど･･･）
あらすじを一言で書くならば･･･主人公は女優第一号の紅沢葉子（通称：ベニ子）。その ベニ子の一生を通して、大正時代に横浜に実在した映画撮影所に集った人々の人間模様、 青春群像を描いた作品です。谷崎潤一郎（劇中では瀧崎先生）も登場人物のひとりです。
ベニ子はハマの不良たちと共に、映画の世界へ飛び込んでいきます。夢があって、エネ ルギーがある･･･貧しいけれども、そんな明るい青年たち。そこにひとりの少し異質な人物、 それが平田さん演じるヨタヘイ、ベニ子の夫です。危険思想（？）の持ち主であるとして 警察に追われています。いつもピストルを持ち歩き、無政府主義（アナーキズム）を唱え･･･。 夫といっても、劇作家としての僅かな収入が入れば全部飲み代に消えてしまい、 生活費も入れられない、ヒモのような夫。九州男児なので、勢いはあるけれども、情けない一面も あったりする･･･。そんな人物です。ハリウッド帰りの映画監督、トーマス 監督のそばについてカメラを運ぶ仕事をしながら、監督業を知り、のちに「俺にもできる」と監督を やって少しはいい目も見たのですが、長続きせず、映画会社をクビになります。（というか、自分から 喧嘩して辞めてしまった。）退職金もすっからかん。愛想を尽かしたベニ子には逃げられますが、 関東大震災の後、爆弾テロを起こそうと爆弾を作っているところにふらっとベニ子が現われ、 「あなたの子どもを産んだのよ、いつまでそんなことをしているの！」と言われ、目を覚まさせられる のでした。
物語は、映画の撮影にかける情熱を描きつつも、その時代の明るい面と暗い面を見せてくれます。 特に関東大震災の場面は衝撃的でした。それでも、瓦礫の中から立ち上がり、再生して行く力強さ。 確かにそこに存在したという、人々の生きる力のようなものを見せてくれたのでした。
平田広明さんの役柄
あらすじのところにも書きましたが、主人公ベニ子の夫であり、アナーキズムにかぶれた劇作家の役です。 いつもピストルを持ち歩いていて、警察に追いかけられています。ハマの不良たちよりは年齢が 少し上なので、一緒になって騒ぐというよりは少し離れたところから見守っていたり、かと思えば アナーキズムを唱えて若者をあおったり。飲んだくれて、お金はすっからかん、ベニ子に迷惑ばかり かけている夫。しかし、ベニ子が他の男と仲良くしていようものなら、怒鳴りつけたりするのです。
頽廃的で危なっかしい人物なのに、どことなく憎めないのです。爆弾作りのシーンでは赤毛（オレンジ 色っぽい金髪。地毛を染色。）になったりもするし、どちらかといえば、まっとうな道からは外れて しまっているし、無精ひげを生やし（ちなみに付け髭ではなく、本物の髭です。）、九州弁で怒鳴り つけたり、およそ、今までのカーター君（←まあ、カーター君は吹き替えですが、お芝居でも『宛名の ない手紙』のチュンセ＝けんじも、『紙屋悦子の青春』の明石少尉も、真面目な人物像でした。） 他の優等生的（あるいはお坊ちゃま的？上品？）な役からは程遠い役です。
しかし、全く違和感なく、ヨタヘイという人物を魅力的に見せて下さいました。主人公・ベニ子の夫 というシチュエーションからしても物語に大きく関わる人物でした。贔屓目かもしれないけれど（笑）、 私はこのお芝居の中で、主人公の次にいい役だったのではないかと思いました。ベニ子を陰で支える 文学青年（通称：英パン）という役も優等生的二枚目でしたが、どうもヨタヘイの方が、気になる人物 なのです。強がったり、おどけてみたり、情けない男になってみたり、いろんな表情がありました。 それだけ見せ場も多かったです。いい役でファンとしてはとっても嬉しかったです。
舞台上の平田広明さんウォッチング！
実は、このお芝居はテレビで放送されますっ！（めっちゃ嬉しいっ!!!）
私が観に行った日（'99.12.12）にＮＨＫ・ＢＳの撮影隊が入っていました。放送は来春、4月ごろに なるようです。
しかし！テレビ中継というのは舞台の全てを見られる訳ではありません。誰かがアップになれば、当然、 その他の人たちは映らない訳で･･･。なので、私は、思いっきり、平田さんだけに集中して観劇しました。 （うふふ。）その観察結果（？）を報告します。（ネタバレもあります。テレビで観る時に予備知識なしで 観たい方は、ここは読まない方がいいかも？）
《最初の登場》
開演約30分後、警察に追われて、みんなのいる食堂にいきなり逃げ込んできます。 逃げてきた訳で、舞台上をあっという間に走り抜けてしまいます。その後、警察がいなくなってから 現われ、「ベニ子がお世話になっています、ベニ子の夫です。」と挨拶するのです。なにげなく 手にしているピストルにさすがの不良たちもびっくり。
《セリフ》
九州弁です。（今年の舞台では、『紙屋悦子の青春』でも九州弁でした。）
雰囲気をお伝えするために、いくつか覚えているセリフを書き出してみると･･･。
（記憶の中のものなので、正確さには欠けるかもしれません･･･。汗）
・（中華料理にありついて）「うまかぁー」
・（いらいらして）「せからしか！」
・（ベニ子が英パンと仲良くしているのを見て）「べにこぉーっ!!!亭主はおいやろがぁーっ!!!」
・（ベニ子と英パンのキスシーンを目撃。言い訳するベニ子に）「誤解も六階もない！」
・（ピストルで脅すがひるまない二人に捨てぜりふ）「今に見とけーっ!!!」
・（羽振りが良くなり、みんなに、自分に付いてくるように持ち掛けるが、
他の場所に就職するという英パンに、お前だけは連れて行く気はなかったと言い、
さもバカにしたように）「面倒見て女房取られたら、かなわんけぇ。」
・（喧嘩して映画会社をクビになり、退職金も飲んでしまってすっからかん、あきれるベニ子に）
「すまんのぉ〜このとおりたい･･･。」
・（爆弾を鼻歌交じりに作っているところをベニ子に見つかり、「何しているの？」と言われ）
「目覚まし時計たーい。」
・（爆弾作りを咎められ）「冗談たーいっ！」
・（爆弾は、二人がもみ合っている内にスイッチが入ってしまい、あ゛ー、あわや危機一髪！
しかし、爆発するかと思ったら、目覚ましのベルが鳴るばかり･･･。恐る恐る止めて･･･）
「配線、間違ごうたぁ･･･。」（へなへなへな･･･）
《細かいしぐさ》
ミーハーな私が（苦笑）胸きゅん＆タメイキもの＋α（？）だったしぐさは･･･
（こういうところは特にＴＶではチェックできないかも？
･･･でも、そこまで細かく見てどうするって言われそう？笑）
・不良少年たちが騒いでいるのを見守る暖かい視線。
・歌や音楽が流れている場面でさりげなく拍子を取っている右足。
・せわしなくカメラを担いで運ぶ時の、素早い動き。
・アナーキズムを唱える時の得意そうな表情。
・大晦日の乾杯シーンで、お酒を自分のグラスについだり、なみなみと注いだお酒を
こぼれないように飲んだり、乾杯の時にこぼれないように少し飲んでおいたりという演技。
（今回の舞台は本物の食べ物・飲み物、いわゆるキエモノなしだったので、すべて
「あるつもり」の演技なのですが、それがほんっとうに飲んでいるようにしか見えない
ぐらいリアルだったっ！）
・酔っ払っている時と、爆弾作っている時の鼻歌。
・からの退職金袋を取り上げられた時の情けない表情。
・ベニ子と英パンに対して怒っている時のセリフや表情。
・爆弾を作っている時と、他にもなにか得意げにしゃべっている時に動く眉毛！
・爆弾のスイッチが入ってパニックになっているところと、爆発する替わりに目覚ましが鳴って
（ズボンのすそを少し持ち上げながら）恐る恐る近づいていくところと、不発に終わって
気が抜けたところ。
・ベニ子に、アナーキズムの師と仰いでいた先生が政府に殺されたことを涙ながらに語るシーン。
･･･もっとあったかもしれないけど！（汗）
（・番外：カーテンコールのお辞儀に、とっても心を込めていらっしゃるように感じます。）
いかがでしょうか？様子が少しでも伝わりますでしょうか？
ともかく私はこのお芝居で、輝いている平田さんを観ることができたのはもちろんのこと、
この時代を一生懸命生きる人たちの様子を垣間見ることが出来、元気をもらえたような気がしました。
そして、何かに打ち込んだり、何かに一生懸命になったり、夢を実現させるためにあきらめないでいたり することはとても大事なことじゃないかと再確認する思いがしました。一つ何か大事なものが心の中にあれば、 どんなに苦しい状況でも生きて行けるんじゃないか、そんなふうにも思いました。
拙い感想でスミマセン〜（思いっきりミーハーだしっ！汗）。皆さんからもご感想を募りたいと思います。長短に関わらず（一言だけでも ＯＫです！）ぜひぜひ皆さんのお声を聞かせて下さい。よろしくお願いいたします！
sumikoさん 「初日見てきました」
みなさん、こんにちは。
初日、見ましたよー。
パワーがあって、ちょっぴりホロリとさせて、楽しかった。
横浜生まれ、育ちの私は、知っている場所や店の名が、セリフの中に出てきて、
物語がより身近に感じられました。
ピストルを構えて言うセリフの声が、カーター君だった。これから行かれる方は、
よおく聞いてみてね。このシーンが、よかった、好きです。
平田さんは、パンフのお写真よりやせてらしゃいます。
足が長くて、カッコイイよー。
みなとみらいのクリスマスイルミネイションもきれいでした。
特に、ワールドポーターズがオススメです。
おいしいお店もたくさんあるから、早めに行って、いろいろ見て、御食事もすませて
行かれるといいと思います。
上演時間は、２時間半で、途中１５分の休憩が、入ります。
では、みなさん楽しんで来てねー。
追記 平田さんの九州弁よかったよぉ。
（えみにゃん注：このご感想はsumikoさんに許可を頂き、掲示板より転載いたしました。）
のおねさん
私は１３日千秋楽にチケットを取っていただきました。
楽日のせいか、補助席もいっぱいで、なおかつ階段も上から下まで座布団席でぎっしり。
私は【ひらたでーた】のおかげでゆっくりと座って観ることが出来ました。
本当にありがとう御座いました。m(_ _)m
いやぁ、平田さんやっぱりよかったですねぇ。
役も味のあるいい役だったし、実に味のある演技で魅せてくれましたね。
パンフレットは買いましたか？モノクロの写真が実に渋いですねぇ。
芝居全体でいうと、個人的な評価としては、可もなく不可もなくといったところです。
実のところもう少し期待していたし、題材を考えるともっと面白くなるんじゃないの？
という感じです。
平田さん以外にも、文学座で活躍著しい若松さん、俳優座の新進気鋭の増沢さん。
この組み合わせだけでも観ておく価値有りと思っていたので期待をしすぎたというところも
あるのでしょうか。
基本的に好きなんですけどね。この種の話は。青春群像〜って感じで。
２〜３日は頭の中で「It's a Long Way to Tipperary」（劇中歌）が鳴り続けてました。
（えみにゃん注：このご感想はメールで私あてに頂いたものの一部を、ご許可頂き、掲載いたしました。）
ヨーコさんの舞台の裏の平田さん目撃(?)談
（えみにゃん注：以下の文章は掲示板に頂いたものを、ご許可頂き、掲載いたしました。）
| ☆ヨーコさんより... こんにちは、はじめまして(*^_^*)。 平田さんのお芝居は、「横浜行進曲」で拝見しました。 拝見っていうのかな^^；)、私はあの時アコーディオン奏者として出演していた者です。 ヨタヘイさんは、なんとなく前の彼氏に似ていて（さめざめ）、泣けました(笑)。 いえ、ルックスとかじゃないです、ヨタヘイという役の人柄がですー。 実物の平田さんは、とても真面目な、真摯に演劇に情熱を傾けている方だと 感じております。楽屋だと冗談ばっかり言って思い切り空気を明るくして下さって いました。だから最初は○○○で＊＊な方かと（いやいや）、じゃなくて、 毎日、平田さんの、芝居に向かうまっすぐなパワーに圧倒されていました。 いやー、お芝居って、本当にいいですねえ・・。 |
| ★えみにゃんより... はじめまして！ようこそいらっしゃいました！ > 私はあの時アコーディオン奏者として出演していた者です。 おおおーーーーー！感激です！横濱行進曲の関係者の方のカキコは 初めてなので。アコーデオンの曲が蘇ってきました。うふ。 あれから、一ヶ月半経ったのですね。テレビの放送が待ち遠しいです。 > いえ、ルックスとかじゃないです、ヨタヘイという役の人柄がですー。 そうだったのですかー。（何とコメントして良いやら。笑） > 実物の平田さんは、とても真面目な、真摯に演劇に情熱を傾けて > いる方だと感じております。 やっぱり〜！！！きゃぁー。そうですよねー。（←いきなり盛り上がり！笑） > 楽屋だと冗談ばっかり言って思い切り空気を明るくして下さって 目に浮かびます。うふふ。 > だから最初は○○○で＊＊な方かと（いやいや）、 な、なんでしょう？？？ここすっごく気になるぅ！（笑） > 毎日、平田さんの、芝居に向かうまっすぐなパワーに圧倒されていました。 じーん。なんだか感動〜。 「芝居に向かうまっすぐなパワー」・・・きゃぁぁぁー。（←ばか。笑） 是非また遊びにいらして下さい！裏話、たくさん伺いたいです。うふふ。 |
| ☆ヨーコさんより... ＞えみにゃんさま ○○○で＊＊、というのは冗談っす、意味ないっすごめんなさい^^；)。 でも敢えて入れるとしたら、なんだろうな・・。 平田さんは、何か問題が起こるといつでも「憎まれ役」を買って出て下さって いたように思います。 でも、お人柄が真摯であたたかいので、全然憎まれてなくて、みんな平田さんのこと 好きだったんですけど(笑)。みんなが思っていても口に出来ないことを、独特の キャラクターでずばっと言ってくれる存在でした。 英パン役の増沢さんも言いたいことをはっきり形にする役者さんなのですが、 ヨタヘイさんが偽悪的であるのに対して、英パンさんは正面からの正統派。 本当の普段のお二人の姿は知る由もないのですが、舞台の間は、 ヨタヘイと英パン、いわば汚れ役と綺麗な役、お二人ともそのキャラクターの 立場をとても楽しんでいて、オフステージでも稽古中でも、役としてのご自分を 本来の素の姿と混ぜながら、ひとつの舞台をつくることに真剣に向かっていらっ しゃいました。それがとても面白くて・・、役者さんってほんとに面白いなあと 日々感じていました。見ているとどこまでが「役」なのかわからなくなってしまう、 そういう醍醐味ってありますよね。 |
| ★えみにゃんより... ヨーコさん、こんにちは！ > でも敢えて入れるとしたら、なんだろうな・・。 あはは。怖くて入れられないっ。（笑）でも、こういう遊び心は大好きです。うふ。 > 平田さんは、何か問題が起こるといつでも「憎まれ役」を > 買って出て下さっていたように思います。 じぃぃぃーーん。（感動） > でも、お人柄が真摯であたたかいので、全然憎まれてなくて、 > みんな平田さんのこと好きだったんですけど(笑)。 おおおーーー。でしょうねぇ〜･･･。わ、私も好きですぅ･･･（って、 だから、書くなっての！＞自分。笑。） > みんなが思っていても口に出来ないことを、独特のキャラクターで > ずばっと言ってくれる存在でした。 おおおーーーー！（感激しまくり。) > オフステージでも稽古中でも、役としてのご自分を本来の素の姿と混ぜながら、 > ひとつの舞台をつくることに真剣に向かっていらっしゃいました。 素敵すぎる･･･。（恍惚。笑） > 見ているとどこまでが「役」なのかわからなくなってしまう、 > そういう醍醐味ってありますよね。 なるほどぉ〜。そうかもしれないですねー。 なんだか感動しまくりで、まともなレスになっていない、情けない 管理人でした。（笑）素敵なお話、有り難うございますぅ！！！ また、いつでもお話聞かせて下さいませ〜。 |
